2,3日ほど前の朝の冷え込みったら、かなり刺激的でした。
朝、日の出とともに畑に向かう際、軽トラのフロントガラスがガチガチになってました。今シーズン初の「霜取り三角」(分かる人には分かりますよね)を使用しました。
そして早朝のブロッコリー収穫。夏と違ってこの時期になると成長は遅いので、収穫に追われるということは無いですし、直射日光や気温の上昇に注意することも無いので、それはいいのですが。。
とにかくブロッコリーが冷たいのです!例えて言うなら、釘が打てるくらいに凍ったバナナを握っているような。。
ずっと続けていると途中で手の感覚が無くなって麻痺するような。。ブロッコリーのかわりに指を2,3本包丁で斬ってもすぐには気が付かないんじゃないかと。。
しばし獄寒に包まれつつ作業を続けていると、やがて八ヶ岳から朝日が顔を出てきます。そして私の手と指は解凍されるのです。田舎で暮らしていると、太陽のありがたみが身にしみて分かる場面が多々あります。



ところで前回のブログを見ると、何だかタイトルに「春」という文字が。。
「かなり」、いや比較級「かなりer」ほったらかしにしておりましたが、久々に更新します。。



と言う訳で、秋です。
ショップの再繁忙期の夏が過ぎ、毎年疲れがどっと出る秋。体調を崩して「だめ人間」になりがちな秋。ですが昨年から開始した農業に関しては、秋、特に9月はまだまだ収穫の繁忙期。早朝からブロッコリーやパセリと会話する日々なのです。

でもさ、ちょっと疲れたよ、まじで。
「だめ人間」くらいなら良いけど、「病み人間」にはなりたくないよ。
ホントは明日、朝からパセリ収穫の予定なんだけどさ。。
相談しよう、そうしよう。
決めた。休んでしまおう。
ということで10月某日のある晴れた日、急遽遊びにいくことにしました。

信州を旅しようシリーズ!
今回行ったのは。我が家のフルーティアン娘たっての希望により。。
塩尻でぶどう狩り!



フルーティアン = リコマルはもちろんのこと、実はワタクシ自身もぶどう狩りは初体験。生まれて初めて(♪ for the first time in forever~ ♬)ぶどうの木の下に参ったのであります。だってあんまりぶどうを大量に食べたいなんて思ったことがないし、そもそもフルーツの食べ放題で元が取れるのか?という貧乏的発想もありまして。。でも、楽しそうな体験ではあるなあ、と。
で、今回うかがったのが塩尻にある原遊覧園。原村在住者には何だか親近感の沸く名前だという理由でこちらに決定!ちなみに気になる料金ですが、大人500円、3歳以上250円。まあこの価格なら、って言うかこんなに安いと思わなかった。更に塩尻ぶどう祭りのチラシ持参したら、入園料50円引、そしてぶどうのお土産付き!すばらしい!

能書きは良いからとにかく食べさせろ!ということで、リコマルと店長はがっつき気味。
一房食べ終わってから次の房をとるのですよ。残されたらお持ち帰りとなって別料金がかかりますよ。(農園スタッフ談)
分かっておりますが、ウチに限っては心配ご無用です。どうぞおがめいねぐ。


この日食べることができたのは「ナイアガラ」「ナイアガラレッド」と「コンコード」の3種類。期待していた長野パープルは残念ながら食べられませんでした。(まあ当たり前ですね。価格が違いすぎますから。)



ワタクシ個人的にはコンコードが好きかな。ナイアガラは酸味が強いですが、いわゆる昔からのなつかしいぶどうの味がしますよね。

それにしてもリコマルは、食べる、たべる、タベル〜。
この方、フルーツで育っていると言っても過言ではございません。







またこちらの農園では追加料金なしでリンゴ狩り、梨狩りもできます。残念ながら今回の時期ですとリンゴは無かったのですが、梨狩りができました。品種は二十世紀と秋月。

秋月って聞いたことの無い品種でしたが、美味しかったです。幸水のような甘みとみずみずしさがあり、一方で新高のようなざらつきと言うかワイルドさもある。市川出身なので梨にはちょいと詳しい(フリ)。

で、このブログを書くにあたりちょっと調べてみたら、この秋月は「新高」と「豊水」を交配してできたものに「幸水」を掛け合わせたもの、とのこと。おお〜、いい舌してんじゃん、オレ。


そんなわけで腹一杯でぶどう園を後にしたリコマル。
いや〜、もんのすごい食べっぷりでした。



さてその4,5日後、冷蔵庫に入れっぱなしになっていたお土産ナイアガラを食べてみると。。あれ、この前より甘くなってる。皮のはがれも良いじゃないか。う〜ん、ぶどうって収穫後に少し時間が経ったものの方が美味しいのか。。味に関して言えばぶどう狩りって??かな。

でも、でも、澄み渡った青空とぶどうの木のコントラストを目で楽しみつつ、太陽の下、自分の手で食すものを選び、そして食らふ。この体験は味以上に貴重なものがあると思う。何より楽しいし。
そしてこのお値段なら。いいです、ぶどう狩り。また行こう、ぶどう狩り。長野楽しい。信州万歳。


実はこのぶどう狩りの後も、まだ遊び小旅行は続くのですが、とりあえず今日はこの辺で。
まだブログ再会のリハビリ中なので。。
次回に続く。

随分と間があいてしまいましたが、前回の続きを少しばかり。。


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水の惑星に住んでいる。なのに、水の中の世界を何にも知らない。

今回サイパンで宿泊したホテルは、プールだけでなくビーチアクティビティーも無料で楽しめる。そこで、シュノーケル、ゴーグル、フィンの3点セットを借りてみた。
シュノーケルをつけて海に潜る。小さいときにそんな経験はあった。だけど、それで魚が見えたという記憶は全く無い。だいだい水の透明度がさほど無いので、見えるものも見えないというのが正しかったのか。

でも、そもそもシュノーケルの使い方って、よく分からないんだよな。。
それにフィンの付け方はこれで良いのか?
でも、まあそんなに難しく考えること無いか、と潜る。。


早速塩水を飲み、鼻水噴射。。


気を取り直して。。


段々と慣れてきた。慣れると余裕が出てくる。
余裕が出てきて感じたことがある。
それは、人間の体は意外と良く浮くということ。
じたばたしなければ、水は人を拒まないようだ。

サイパンの海の中は、青く優雅な光景が広がっていた。
気体の中と液体の中とでは全く異なる感覚の変化が心地よい。
その中でも特に水中での聴覚は、何とも至福な孤独を堪能することができる。

そんな至福で優雅な孤独を堪能できる空間で、最初に出迎えてくれたのは岩珊瑚。


そして、サイパン名物のナマコ。


これはウミヘビ?


しばらくすると、多くの魚たちが登場!
ホテルのビーチから約10mくらいの場所なので、珍しい魚ではないのだろうが、これは楽しい!ただ基本的に魚の名前などは全く分かりません。。










前回のブログでも書きましたが、途中でマニャガハ島という美しい島に行ったのですが、シュノーケリングの楽しさに取り付かれた私は、そこでも潜ることに。。
魚の種類が断然多い!そして海の中の抜ける様な蒼い色も透明感も、全く違う。







でもやっぱり魚の名前は何も分かりません。。



最終日、ホテルのビーチで最後の潜水。大分慣れてきたので、ビーチから50mくらいまでは行ったかと思う。こちらが慣れてくると、心なしか魚たちも、私に近づいてきてくれる様な気が。。一緒の空間(水間?海間?かな)にいる仲間として、一緒に泳ぐことを楽しんでくれている様な気が。。




水の惑星に住んでいる。
今回、ちょっとだけ、その水の中の世界を体感した。
地球の7割は海と言われる。
今回の経験ではその1分、いや1厘、いやいや1毛とか、そんなレベルに過ぎないかもしれない。
でも、未知の世界に、ほんのちょっとだけでも招き入れられたことは、非常に感動的だった。
また、行こう。。
そう思わせるものが水の中に、あるよね。


久々の更新です。

八ヶ岳はまだまだ寒〜い日が続いています。そして今年は雪の多い冬です。
先日「また都内でも雪が降るぞ〜」という予報が大々的に報道された日がありましたね。その日は原村でも大雪を覚悟していたのですが、終わってみれば積雪は10cm程度で、何だか拍子抜けしたのを覚えております。
が、昨日2/13、確かに天気予報で地味〜に「雪マーク」がついてはいたものの、先日のような大騒ぎは全くなかったのでのんびりと構えていたのですが、朝、雨戸を開けて外を見ると。。
軽〜く40cmくらいは積もっておりました。。慌てて雪かきに。。出勤前の2時間、汗だらだら筋肉ぷるぷるで雪と格闘して参りました。。明日2/15もやはり地味〜に雪マークがついているのですが、果たして。。


もう1ヶ月近く前のお話しになりますが、先月のお休み期間を利用し、サイパンに行ってきました。
サイパンに行くと決めた理由、そのひとつは、とにかく原村が寒くて寒くて、ほんのちょっとでいいからその寒気から脱出したかったから。
そしてもうひとつは、このような仕事をしていると、夏に連続して休みを取ることはどうしても不可能。だからと言ってここは長野県。日本で「海から一番遠い村」もあるという場所ですから、日帰りで海に行くというのもそう簡単ではなく。また炎天下の車に犬を置いて我々だけ楽しむというのも、犬たちに訴えられますでしょうし。。
そんなわけで、リコマルに夏の海を体験させてやるためにはこのタイミングしかない!ということで行って参りました!

出発は1/15の20:40成田発。
そう、あの記録的な大雪が降った日の翌日です。高速道路は前日から通行止め。それはそうでしょう、原村でも70cm程積もりましたから。まさに記録的。。
それでも翌15日には通行止めも解除になるだろうと、どこまでも楽観的。ただ、いくら楽観的とはいえ、もちろんできるだけ余裕を持って行動しようと、その日は5:30に起床。寝坊助のリコマルも、この日は目覚ましが鳴るとなんと2秒で起床!
ニュ−スを見る。須玉IC〜一宮御坂IC間は高速道路が復旧。でも他の区間は相変わらず通行止め。まあ途中を下道で行ってもまだ余裕はあるさ。それに時間が経てば更に通行止めも解除されてくるだろうし。そう、どこまでも楽観的。
なるべく早めのスタートが望ましいのだろうが、さすがにまだこの時間帯では国道まで出る道路もガッチガチで危険過ぎるだろうから、もう少し経ってから出発しようということに。ごはんを食べ、準備を整え。。8:30出発!

でも。。。
結局通行止めは解除されず。。特に一宮御坂〜大月が通行止め→国道20号で笹子峠越えというこの区間は、もう渋滞というレベルではなく、「全く動かない」時間が30分とか、時速2キロとか。。
「当日のキャンセルは全額負担」
旅行に行くぞって決めた人が、何故当日キャンセルするのか。
嫌な汗がたら〜り。その一員になる恐怖がじわりと忍び寄る。

結局、笹子越えに5時間半以上。。
大月ICから中央道に入ったのが17:00過ぎ。全く予想だにしない、とんでもない時間がかかりました。。でも、これなら何とか成田に19:00過ぎには着けそうなので、チェックインには間に合いそうだ。頭の中にできていた「視界ゼロの濃い霧」がみるみる消えて行く。

しかし。。
「調布 事故渋滞8km」
ああ、再度頭に霧が立ちこめる。いや、もはや霧ではない。雲だ。積乱雲だ。
私の頭の中は、乱気流に陥った飛行機のように、ぐらんぐらん揺れまくる。
終わった。。
「当日のキャンセルは全額負担」

車の中で「サイパンサイパン!」と連呼しているリコマルに、何と言って説明する?
おそらく華厳の滝の様な怒濤の涙と、ジャイアンリサイタルの様な大声で叫ぶであろう姿が、はっきりと脳裏に浮かぶ。
ここまできて諦めるわけにはいかない。図々しいのは分かっているが、もう居ても立ってもいられず、旅行会社に電話をする。
「20:00まで。いや出発1時間前の19:40まででいいです。チェックインカウンターを締めないで待っていてもらえますか?もし19:40までに姿を現さなかったら、その時はもう無理は申しません。おねがいじまずぅぅ。」
やれることはやった。あとは渋滞の早期解消を祈るのみ。。果たして。。。





深夜1:00過ぎ。
このドタバタ劇の終焉を、南中したカノープスが迎えてくれた。
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そう、結局成田着は19:35!奇跡の5分前行動!
待っててくれたデルタさん、本当にありがとう!
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カノープスは日本からは殆ど見えない、りゅうこつ座の一等星。全天で2番目に明るい、白く美しく輝く星だ。今この星を見上げているということは、そう、サイパンに辿り着けたのだということを実感させてくれる。他にも、天頂近くにそびえるオリオンなど、いつもと違うの星座の位置と向きを楽しみ、緯度の変化を実感する。

そして南の星に見守られながら、やがて睡魔が。。
いや睡魔に襲われるという表現は的確ではないかもしれない。
達成感と安堵感とに満ち満ちて、ただ眠るだけで良いのだ。
ゴールデンスランバー。
そう、まさにゴールデンスランバーに、私の全ては包み込まれる。

Golden slumbers fill our eyes...

そして翌朝。
熱帯の空気を体に感じ、にやつきながら目を覚ます。

Smiles awake us when we rise...

窓を開けバルコニーに立つと、そこには照りつける太陽と水色の海が。
そしてリコマル大満足のプールが、眼前に広がっていたのであった。




ブランコで90°を越えるくらいまでかっとび。。


カヤックで海と戯れる。





途中、サイパンで最も美しいと言われるマニャガハ島へ。

そこには、今まで見たどこの海よりも、ひときわ美しい光景が続く。
まさに楽園。


水の中から、にんまり。。





おまけ。
今回出会ったのは、カノープスや美しい海だけでなく、こちらも。。
プリングルスのハラペーニョ味とハニーマスタード味。


そしてハーゲンダッツのマンゴー味!

あと画像はないのですが、デルタ航空の機内で飲んだトマトジュースが絶品でした。
味はもちろん、絶妙な塩加減、まとわりつく様なトロミ感、そして香りと、まさに理想的なトマトジュースを堪能。今思えば、何でメーカー名を聞かなかったのかと後悔しまくり。確か、350ml缶ビールとほぼ同じくらいの銀色のアルミ缶からサーブしていた様な気がするのだが。。業務用なのだろうか?デルタ航空に問い合わせてみようかな。


そしてもう一つ、今回わたくしが初めて出会ったもの、感激したもの。
それは、海の中の青い世界。
ちょっとだけ、次回に続く。。



10月末。八ヶ岳山麓に冷たい雨が降る。
そして八ヶ岳は暑い雲の中に、眠る。

8年間。
八ヶ岳の麓に暮らしていたものの、いつも八ヶ岳の側で生活していたものの、下からばかり仰ぎ見てはいたものの、登るという考えに全く及ばずに過ごした8年間。それが友人に誘われ、高所恐怖症におびえつつも、7月に初めて八ヶ岳に登った。

登ろう。次は単独で天空を歩こう。
そして八ヶ岳を踏破しよう。
色々と計画を立てる。

でもさ、どれも結構大変そうな計画だぜ。
そもそも本当にひとりで行けるのか。
熊が出るんじゃねぇ?
今年はスズメバチも多いらしいし。。

たくさんの情けない自分が次々と出現する。
確かに夏場は仕事の兼ね合いも多々ある。
故に計画を実践できないということも現実問題としてあるのだが。
要は腰が重いのだ。

自力で何とかするのは好きだ。そもそも生活自体がそういう感じだし。
孤独と向き合う。これも憧れるキーワードだ。
でも、腰は重いのだ。

ただ、時として理由も無く、簡単に腰は軽くなることがある。
「時には何故か大空に、旅してみたくなるものさ」
「八ヶ岳がオレを呼んでいる」
そういうこと。

10月末。
重い腰が軽やかに浮く。
その翌日。
八ヶ岳山麓に冷たい雨が降る。
そして八ヶ岳は暑い雲の中に、眠る。

翌朝、八ヶ岳は白く光る。
赤岳、横岳、硫黄岳。。夏に登った山々が美しく真っ白に輝く。
そして今回、初の単独登山と予定していた天狗岳も、白く化けている。
雪山の装備は、ない。経験も、ない。
どうやら八ヶ岳はオレを呼んでいなかったようだ。。

いくらこちらが愛していても、拒まれることはある。
いや、そんなこと、しょっちゅうだ。
その原因は腰の重さかもしれないな。

ふと、視線を左に移す。
蓼科山はそこまで白くはないぞ。薄化粧程度だ。
ふと思う。そうだったのか。
拒まれて、拒まれて、拒まれて。。。
でも、そのすぐ横に、「しょうがないなあ」と、こちらを受け入れてくれる人が立っている。。そんなことがあったりする。腰を上げさえすれば、そんなことがあったりしちゃったり何かしちゃったりする場合があるんだなあ。なんのこっちゃ。。

「蓼科山がオレを呼んでいる」



登る。そう決めたのは朝9時過ぎ。
蓼科山の標高は2,530m。でも7合目登山口まで車で行けるので、そこから登ればハードな山ではない。出発は遅くなったが、その分、雪も融けるだろうし。

am1050、7合目登山口から登る。
しばらくは北八ヶ岳らしい、苔むした森林の中を歩くのだが。。

途中からやはり雪が出現。
滑りやすくなり、より注意が必要な状態になったものの、初冬の美しい光景が眼前に広がり、何だか気分は高揚する。


変化に乏しい樹林帯がずっと続いていたのだが、突然前方に明るさが広がり、そして視界が開けた。
am1145、将軍平到着。ここには蓼科山荘ロッジがあり、休憩する人もちらほら。


将軍平から見上げる蓼科山頂。
距離的には近そうだけど、結構な高さがあるようだよ、おい。


と言うことは、当然ここからはかなりの傾斜を登ることになるよね。
しかも大きな岩がゴロゴロ。この辺りからは両手も使って登る機会が増える。
手袋を薄手のものからゴアテックス製品に変える。


途中で鎖も登場。
登山者に踏み固められた雪はツルツルと滑りやすく、気が抜けない状況が続く。

このあたりで森林限界を突破。背後の視界が急激に開ける。
そして振り向くと。。やはり私はまだ高所恐怖症だった。
またしても肛門から脳天に何かが突き抜ける。ただ最近は、この「突き抜ける感覚」を少し楽しめる余裕もあったりする。それは多分「山に顔を向けて登っている」からなのだろう。
でも脳は働く。帰りはこの急角度を「山に背を向けて下る」ことを想像する。すると、自分は本当に山に登るべき人間なのかと不安がグルグル頭をまわる。残念ながら、この「グルグル頭をまわる感覚」については、まだ楽しめていない。

大きな岩を全身を使って登り続けていくと、少しずつ前方の視界も開けてきた。山頂も近いようだ。
山頂付近はかなりガスが発生しているようだが、この日は風も強かったので、白の世界から突然美しい色彩が生まれる。


やがて正面に蓼科山頂ヒュッテが出現。そう、山頂に到着!
ただ蓼科山の山頂は非常に広い。そして大きな岩がゴロゴロと転がる空間が広がっている。
また山頂は完全にガスに包まれ、岩間にのぞく雪と相まって荒涼とした光景。
そんな中を、三角点のある場所へと歩を進める。


そしてpm1215、蓼科山頂上の三角点に到達!
しかし、相変わらず全方向に雲が広がり、視界はゼロ。
ただ、心なしか山頂のガスは少しずつ抜けてきたかも。。


ここまでTシャツ2枚重ねというスタイルで汗をかきながら登ってきたのだが、山頂の寒さにやられ、慌ててフリースとカッパを羽織る。
そして岩場の陰に隠れて風をしのぎ、腹ごしらえをしてお茶を飲んでいると。。


太陽登場!

そして岩場に隠れ、寒さをしのいでいた人たちも、あちこちから一斉に登場する。



自宅からこんな近くに、雲の上を散歩できる場所がある。これはかなり贅沢だ。
空はこんなにも大きく広がる。
そしてその青さの中に存在する、深みと奥行き。
浮遊する雲の上に、さらに浮遊するかの如く、たたずむ山々。

しばし天空からの眺めを堪能する。
没頭し、自然に圧倒される。
そしてふと、この空間に存在する自分自身のことを思い出した瞬間、何だかよく分からない感覚に陥り、涙腺を何かがちょっと刺激する。


八ヶ岳


南アルプス


槍ヶ岳



山頂到着時のガスにまとわりつかれた白い世界がまるで幻であったかのように、今、目の前に広がる光景が何とも名残惜しいのだが、そろそろ帰らねば。雪がカチカチツルツルに凍るぞ。
最後に、本当は高いところがかなり怖いくせに、生意気にもこんなところに立ってみたオレ。


樹氷の赤子たちに別れを告げ、pm1400、蓼科山頂を後にする。



それにしても不思議なもので、山頂までたどり着いた後は気が大きくなるものなのか、高所に対する恐怖がかなり薄れるような気がする。さっき同じ場所を登っていた際、ここを下るのは恐ろしいとあんなに感じていたのに、いざ下るときはスイスイ下りていた。
でも、こうして見ると結構な下りなんだよね。。登頂を繰り返せば、やがて高所耐性ができるのか?


pm1505、七合目登山口に下山。
少し下った麓から仰ぎ見る蓼科山は、紅葉の中に悠然とたたずんでおりました。



登頂したのがつい先日のことなのだが、あれから約20日が経過。
今、八ヶ岳も蓼科山も、既に白銀の世界と化している。

しばしお別れ。
そして来年は常に腰を軽く保ち、八ヶ岳全山踏破を目論んでいるのだが、果たして。。


頭上は快晴。眼下は雲海。そんな素晴らしい2日目の朝。
思わず雲海に向かって、飛ぶ。。



それにしても「飛」という漢字は美しく、好きだ。
漢字の持つ意味と、その文字の躍動的なカタチ。そして書き順も。
ここまで全てが見事に融合し、全てがバランスよく、そして美しいと感じる漢字は、ちょっと他に無いのではと思う。





さて、ここは赤岳。
八ヶ岳の最高峰。
ここにいるということは、どこへ行くにもまずは下りから始まる。
0600amスタート。

ただこの日のスタートは、天候とは相反して何やらトラブルが続く。
「下りの方が危ないことが多いから気をつけて」と声をかけてくれたベテラン登山家の彼が、次の瞬間、私の目の前でコケる。。しかも、その瞬間を私が偶然にも撮影してしまったという運命。この2日間で彼がコケたのはこの1回だけなのに。。

そして、その写真をしっかり私にアップされるという運命。。。

しかし、その次は私に不運が。。。
かなり、本当にかなり急な下り斜面。鎖につかまり、集中して歩みを進める。
対面からは荒い息づかいで登ってくる登山者とすれ違う。かなりつらそうだ。。私は彼に何気なく「今日が下りで良かった。この斜面は正直登りたくないかなあ。」と口にした。そして次の瞬間、どきりとする。。
あ、携帯電話がない。。。
昨日は土砂降りのため、携帯をビニール袋に入れてリュックの奥深くにしまっていたのだが、この朝、ここまで眺めが良いと携帯でも写真を撮ってやろうという欲が出た。携帯をパンツの右ポケットに入れて下り始めたのだが、おそらく鎖場で無理な体勢になった時に、ポケットから転がり落ちたのだろう。。

荷物をその場に置き、急いで今来た道を登る登る。。
歩んだ道のみならず、携帯が滑り落ちて行きそうな場所をも推理し、視線をきょろきょろしながら登る。
登山のようにゴールを認識しながら登るのとは異なり、終点対象がどこにあるのか分からない登りは、ある意味、彷徨うという感覚に近いものがある。
不安が募る。いったいどこまで戻らなくてはいけないのか。。赤岳山頂まで行かねばならないのか。いやいや、それでも見つからない場合は、何度かこの登山道を往復をしなくてはならないのか。。

ふと上を見上げると、先程すれ違った登山者二人が、何やら話しているのが聞こえる。
「どうする?」
「困ってるよね、きっと」
「その鎖にひっかけとけば分かりやすいんじゃない」
むむ、これは間違いなく私の携帯にまつわるお話でしょう!
「すいませ〜ん、それ白い携帯ですか〜」と叫ぶと、上の方で手を頭上で丸くするお二人。
「そこに置いておいて下さ〜い。すぐ取りに行きますので〜!」
一件落着。。
いやいや、必死な時って、登りでもあまりキツくないもんだ、と思ったのだが、よく考えたらリュック背負ってないですからね。。登山時の荷物を減らすことの必要性を肌で体験しました。

それにしても、「気をつけて」と言った人間が転び、「登りたくない」と言った人間が登る。。言ったことの反対のことが起こるものだ、と不条理を感じる。

が、とある記憶がふと脳裏に浮かび、私はしばし考える。

中学生の頃に読んだ星新一のショートショートに、正夢よりも逆夢の方が圧倒的に多いということをベースとしたストーリーがあった。それは、とにかく悪夢ばかりを見る主人公が医師に相談し、素晴らしい夢を見られるような薬を処方してもらうのだが、しかしその副作用として、現実の世界で少しずつ悪いことが起きるというお話。
悪夢の逆夢は素晴らしい現実。そして素晴らしい夢の逆夢は恐ろしい現実。。そう、基本はいつも逆夢なのだ。。確かにそうかもしれない。
夢は儚いものである。逆に、儚いものへの憧れがカタチとなる現象こそが夢なのかもしれない。
斉藤和義はうたう。
『言葉はいつも遠回りカラまわり風に乗って消えちまう。。』
口にすること、言葉にすることを儚いものだと思うと、何だか妙に納得し、不条理でもなんでもなく、この現象を受け止められる。

「言葉はカタチの無い儚き夢の如し。夢あるところに常に厳しき現実が出現す。」(by オレ)
なんのこっちゃ。。


0645am赤岳展望荘に到着。後ろを振り返る。

赤岳の雄々しい姿を仰ぎ見る。そして今朝までいた赤岳頂上小屋も彼方に浮かぶ。
いやあ、すばらしい光景。そして思った以上の結構な距離。。携帯を落としたことに気付かずにここまで来ちゃってたら。。と、少しホッとする。

ここから、横岳へと向かう。
赤岳展望荘からは、眺めも良く歩きやすいこんな素敵な道。。


。。ばかりが続くのだったら良いのだけど、ちょっと行くと
高所恐怖症にはたまらない、まさに肛門に何かが突き抜けてくるような、幅が70〜80cm程で両側が今にも吸い込まれそうな切り立ったガケという尾根、とか。。。


鎖なしでは絶対に登れないであろうというような、せせり立つ巨大な壁、とか。。

空気が薄いということに気が付いたのはこの辺りだったかと。息を吸い込んでも肺と脳が全く納得がいかない。。そんな状況。普段海抜1000mの地に住んでいるので、それだけでも高地仕様に鍛えられているかと思ってはいたものの、やはり2800mでの強烈な登りには全く通用しなかった。

でも、横岳周囲はまさに花盛り!息切れした中年を高山植物が癒してくれる。
ただ花の名前は全く知らない。そう、私は花オンチ。。





0815am横岳到着。

赤岳から横岳までは、前述の通り、かなりハードなアップダウンが続いた。ただ非常に変化に富んだ行程でもあり、広がる景色にもバリエーションが多く、この2日間で最も「山にいる!」ということを強く印象づけてくれた場所だった。
後で下山して下界から八ヶ岳を仰ぎ見ても、赤岳よりも、この横岳の方が変化に富んだ姿を見せており、八ヶ岳の代表的存在のように感じ得たのは決して私だけではないと思うのだが。。


次は硫黄岳へ。
ここはいままでのような切り立った岩が連なる姿とは異なり、なだらかな高原のような雰囲気。
この位置から見ると、なんとなく美ヶ原のような光景。似てませんか?


ただそこまでの道中は決してなだらかではなく。。
すれ違うこともできないようながけもあり。。


ただ、硫黄岳山荘を過ぎるあたりからはなだらかな山道。
立ち並ぶケルンが登山者に道を教えてくれる。。
緊張感から解放されるような優雅な高原散歩の雰囲気。


そして0930am、硫黄岳山頂に到着。
赤岳や横岳と違い、頂上付近は広々とした空間が広がる。


ただこの硫黄岳のもうひとつの特徴は、頂上付近にある爆裂火口。今まで見ていた斜面とは反対側にあるので、ここまで全く目にすることはなかったのだが、迫力満点。ちょうどガスが下から舞い上がってきたこともあり、山が鼓動をしているような感覚に陥る。

歴史には詳しくないのだが、聞く所によると八ヶ岳はかつて西暦888年に爆発したらしい。その時の爆発の中心が硫黄岳だったのだろうか?
そのような思いを持って、よくよく観察眼で再度硫黄岳を眺めると、爆裂火口とは反対側、つまりずっと目にして来た側は、実は全体が削ぎ落とされているように感じられ、これ、実は全体が大きな火口なのだと認識できる。その証拠に、行く手にもかつて爆発したことを思わせる光景が続く。

それにしても、八ヶ岳の爆発が888年。。良くできている。


硫黄岳から赤岳鉱泉に下る。
途中からは森林帯の中に入り、視界も遮られ、変化の少ない下りが延々と続く。
そして赤岳鉱泉到着。1030am。しばし休憩。
地図を見ると、かなりの距離を歩いたものだと感じる。なかなか感慨深い。


ここからは往路とは反対の沢、北沢経由で美濃戸山荘へ。
渓流沿いの道をとにかく、とにかく下る、下る。


途中ペガサスのような不思議なカタチの木が、川の中から姿を現していたり。


そして最後の地味だが延々と続く下りを進み。。。
ついに1230pm、美濃戸山荘到着。無事下山。

いやあ、非常に疲れた。。
しかし下山後すぐ、「また山に登るんだろうな」という不思議な心理が、私の中に生じた。
何かが私を射抜いたのだろう。それが、そこに山があるから、ということなのか。。



山に登って、八ヶ岳を見る目が変わった。
それはつまり、今まで「八ヶ岳」としてしか見ていなかったものを、赤岳、横岳、硫黄岳という風に見るようになった。この変化は山を見る上で意外と新鮮だ。どこをどう歩いてきたのかというイメージが、下界でも広がり、楽しい。

ただ翌日。。
今まで味わったことの無いような下半身の筋肉痛に襲われた。特に大腿部の裏側、大腿二頭筋や半膜様筋といったいわゆるハムストリングス、そして下腿部のふくらはぎ全部とすねの外側の筋肉がパンパンでゴリゴリ。。これが丸々3日間続いた。。
これは明らかに、2日目の赤岳山荘以降の「地味で変化の乏しいが延々と続く単調な下り」でやられたに違いない。下りは普段あまり使わない筋力を使うのだろう。下りをなめちゃあいかん。


ということで、今回は拝借して使用したストックだったが、すぐにマイストックを購入!
そう、次回の下りに備えて。。
次は唐沢鉱泉から天狗岳を登ろうかな、と計画中。初の単独登山の予定。。